逆転スペクトル

元ニートでナヨナヨな一児の父が綴る、由なし事。

Edge of Shame

小学二年生は、親に抱っこされることを嫌がるものだろうか。

統計的多数の小学二年生がどうなのかは分からないが、ひとまず娘は嫌がらない。むしろ今でも抱っこされると喜ぶくらいだ。

 

そんな娘と休校時家庭時間割における「体育」で、散歩に出かけた時のこと。

寒くなるとは聞いていたが、予想していたよりさらに気温が低くて肌寒く、散歩で体が温まるまではと娘を抱っこして暖を取りながら歩くことにした。久しぶりの抱っこで娘は喜んでいるようだ。

昨年引っ越して来て以来まだ歩いたことのなかった細く長い路地を歩いていたところ、その道の先に保育園が視界に入ってきた。緊急事態宣言下でも開園しているようで、園庭には保育士さんと数名の園児の姿が見えた。

すると娘が、抱っこから降りたいと言ってきた。 

今まで抱っこしながら外を歩いているときに、娘から降ろしてと言われたことがなかったので少し驚いたが、親に抱っこされている姿を年下の園児たちに見られるのが恥ずかしいと感じるお姉さん心であろうと想像がついたので、特に何も言わずに娘を降ろす。

そして娘はそのまま歩き、保育園の園児達の横を通過する。

私は娘の少し後を歩きながら、これをきっかけに抱っこを嫌がるようになるのかもしれないなと、少々感慨深い気持ちになっていた。

親離れブースターが点火されたかのように、そのままぐんぐん歩く速度を早める娘。

そして保育園が見えなくなったあたりまで進むと、突然娘が振り返り、バッと両手を広げて恥ずかしそうに「抱っこ!!」と主張する。

 

おいおい、見られてなければいいのかよ。

思わずツッコミそうになったけど、少しホッとしてしまった自分がいた。

 

ポケモン ALLSTAR COLLECTION ぬいぐるみ ブースター S

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  • 発売日: 2018/11/10
  • メディア: おもちゃ&ホビー
 

飛ばないほうきは、ただのほうきだ。

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3歳にして「ルージュの伝言」をフルコーラス歌いきれるようになってしまうほど「魔女の宅急便」が大好きな娘は、キキの様に魔法のほうきで空を飛ぶことを夢見ている。

その「ほうき熱」は、自宅の浴槽のふち、ベッドに横たわる父の脚、果ては公園の庭の通行規制用ロープなど、少しでもほうきに見立てて股がれそうな部分を見出せれば果敢にライドして「浮気なー恋を早くーあきーらめない限りー」などと歌いだすレベル。

保育園でも友達を巻き込んで、板状に積んだ積み木などの上に股がる「キキごっこ」を先導していたようで、保育士さんにキキごっこ用ほうきを新聞紙等で手作りしてもらう世話をかけるまでヒートアップしていたようだ。

そんな娘の空飛ぶほうき熱の強度に打たれた私と妻は、彼女の4歳の誕生日プレゼントとして、思う存分キキごっこに勤しめるよう本物の掃除用竹ほうきを贈ることを考え、さりげなく娘にリサーチをかけてみることに。

しかしそこで娘から返ってきたのは、

「飛べないほうきなら、いらない」

という、少し意外で興味深い意思表示だった。

「この世には魔法が満ちていて、空を飛べるほうきも実在する」という子どもらしいロマンチックな思い込みのもとでの、「自分の求める機能を果たさないモノに価値はない」という大人顔負けの冷静でプラグマティックな判断。

そういえば娘は、保育士さんに作ってもらった新聞紙のほうきを家に持ち帰る際、保育園の外に出るや否や勇んでほうきに股がったその数秒後、

「飛べない……」

と、悲壮感溢れる声を絞り出して嘆いていた。
「あの時のような失望は味わいたくない」という思いが、娘をかの非現実的な合理的判断へと導いたのだろうか。

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しかし我が娘ながら、熱に浮かされている中でも、自分の心の中の「本当にやりたい事」をちゃんと捕捉し、簡単に手に入る代替物でお茶を濁すのではなく、その実現のために必要なものは何なのかを見極めようとしたのは素晴らしい。

それに比べて毎日妥協してばかりのナヨナヨパパは恥ずかしい限りなので、明日の朝はママから電話でしかってもらうよ My daughter!


【ネタバレあり】椎名林檎のライブに行ってきた。

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椎名林檎のホールツアー「椎名林檎と彼奴等がゆく 百鬼夜行2015」に行ってきた。
 
開演直前に後ろの席から聞こえてきた話によると、今回はチケット競争率が高くヤフオクでもかなり値上がりしてるとか。
ファンクラブ創設からの会員*2で、今回も会員特典のファンクラブ先行販売でチケットをゲットしていた私に抜かりはなかった。
 
最新アルバムからの曲が多いのかなと予想していたら、「警告」「罪と罰」「迷彩」「真夜中は純潔」「群青日和」「御祭騒ぎ」「ブラックアウト」などの懐かしい曲が多く、東京事変時代や他アーティスト提供の曲を含めたキャリア全体から満遍なく、今回のバンド編成に合ったものを多く選んできた感じ。ゆえに最近の曲にあまり詳しくなかった妻も楽しめた様子。
最新アルバムからは一番好きな「走れゎナンバー」も演ってくれたし、大満足のセットリストだった。 
走れゎナンバー

走れゎナンバー

 

最近の推しキャラなのか、露出過多で豊胸ぶりを強調するような衣装が多かった。久しぶりの看護師スタイル(でも「本能」は唄わなかった)による、ガッツリ振り付け覚えての一曲丸々セクシーダンスも披露するなど、初期ツアーで志々雄真実ばりの全身包帯コスチュームで、無骨なパフォーマンスをやってた頃にはとても想像できないサービス精神旺盛ぶり。

まあでも彼女がサービス精神旺盛なのは多分昔からで、若い頃は周囲から「エキセントリックなあたし」を求められてるという意識からああいう形になっていたのが、いい大人になった今は、もっと分かりやすい形でそのサービス精神を現すようになっただけなんだろう。
 
曲数が多かったせいかMCはほとんどなしで、アンコール登場時に少し時間取った程度。ベースの鳥越啓介さんの八王子ネタに、面倒くさいツッコミをいれる姿が林檎嬢らしかった。
 
ここ2週間以上風邪が長引いていたり、睡眠不足が続いていたので、身体も心もかなりヘロヘロだったのだけど、ライブ中は魔法がかかったように、唄と曲に合わせて自然に身体が動いて楽しかった。
 
1998年に大学近くの新星堂で行われたインストアライブで洗礼を受けて以来、ほとんどの彼女のライブを観てきた。大げさなようだが、ライブが終わった直後はいつも、椎名林檎と同時代に生まれて良かったという感慨に浸れている。ありあまる富だ。
 
※1998年のインストアライブの感想は以下の記事参照。
日出処

日出処

 

 

*1:1998年のインストアライブの時に手渡しでもらった直筆サイン。

*2:トリビア】現行ファンクラブ「林檎班」の前に、「風雲ディストーション」というファンクラブがあった。

世界の法則 VS 断固たる決意

先日一家で夕飯を食べていたら、窓の外が暗くなっているのを見て、

 

「暗くなるのやだ!」

 

と娘がゴネ出した。

 

それを受けて私は、

 

「確かに暗いのは怖いし寂しい気もするね。でもそうは言っても、これは世界の法則なんだよ。太陽が沈む1日の半分が夜になるのは仕方ない事なんだ」

 

と、つまらない説明をする。

 

すると娘は、その強い表情のまま間髪入れずに、

 

「チコちゃん諦めない!」

 

と、まさかの「ダンコたる決意」の宣言。

 

その意気やよし。

 

将来娘が昼夜を制御できるような画期的科学技術を発見するのが先か、諦めて試合終了するのが先か、とりあえず楽しみにしておこう。

 

 

 

 

ホログラム・ママ

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朝、保育園に娘を預けてお別れするときは、抱っこして十数える→両手でハイタッチ→両手でグータッチ、をセットでやっている。

「お別れのタッチ」だけでは納得しないでグズる娘をなだめるために「お別れの抱っこ」をプラスするようになり、そしたらいつまでも抱っこしようとするので時間制限をつけたりしながら、今の形になってきた。もちろん、抱っこもタッチもしてないのに、保育士さんに抱っこされてニコニコしながら「バイバーイ!」なんて時もあれば、お別れの儀式をひととおりやっても泣いて引き止められる時もあったりと、ばらつきはあるけども。
 
今日はパパとママと娘の一家揃っての登園だった。保育園に着いてひととおり準備を終え、いざお別れという時になって、娘から「おしっこ出た〜。オムツ替える〜」という緊急動議が提出されると同時に、娘は替えオムツ置き場にダッシュ。マジか。
しかしママは会社遅刻ギリギリのクリティカルタイムにさしかかっていたため、ママに比べて余裕のあった私が娘のオムツ替え補助を引き受け、その間にママは仕方なく保育園を出て行った。
 
そしてオムツを替え終わり、保育士さんへの受け渡しエリアで一連の「お別れの儀式」を終えると、娘が「つぎはママと抱っこ〜。あれ、ママは?」とママを探し始める。
私は内心「あら気付いちゃったか…ママと抱っこしたいと泣き出すかもな…」と困りながらも、娘に「ママは時間なくてもう会社に行っちゃっていないんだよ〜」と伝えた。
 
すると娘が驚きの行動に出た。
 
「ママが先に会社に行ってしまった」と聞いた娘は一寸考えると、何もない前方の空間を抱きかかえる素振りをみせ「いーち、にー、さーん…」と数え始めたのだ。
 
エア抱っこである。
 
娘は目の前の「仮想ママ」に抱っこして十数え終えると、私ともう一度抱っこをして、笑いながら驚いている私と保育士さんを尻目に、部屋で待ってるお友達のところに遊びに行った。
 
知らぬ間に別れて寂しいし抱っこもしたかったけれど、「ママが遅れずに会社にいく」ということも、よく分からないけど多分とても大事なこと。その相反する二つの事象のあいだの折り合いを、彼女なりにつけようとした結果の「エア抱っこ」なのだろうか。
 
先日の日記にも書いたが、まだまだ彼女の世界は何でもありの神様がいる世界。健気なエア抱っこをする彼女の目には、実物と見紛うばかりの質感を伴った、大好きなママのホログラムが見えているのかもしれない。

 


 

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2歳の娘にマジックを見せてみた

不器用なマジック好き

「不器用を3Dプリンタで印刷して魂を吹き込んだらいっこうの出来上がり」という神様のレシピが天界のクックパッドに上がっているような気がする程度に不器用な私なのだが、そのくせ昔から人に手品を見せるのが大好きで、いくつか軽いテーブルマジックを会得している。
今までは主に、友達との雑談や合同カンパニーなどの隙間時間に披露して面倒くさがられたりしていたわけだが、絶好の観客たる娘が産まれてからというもの、ずっと私は彼女に超魔術を見せたくてウズウズしてきた。

マジックを楽しむ前提条件

では、なぜ今までマジックを見せなかったのかといえば、実は人が手品を楽しむためにはいくつかの前提条件が必要であり、乳幼児であった娘にそれが整うまで、じっと時機をうかがってきたからなのだ。

その「手品を楽しめるために重要な前提条件」とは、

  • 「目の前のものが見えなくなったり触れられないとしても存在し続けている」(対象の永続性)
  • 「同じような条件のもとでは同じ現象がくりかえされるはず」(斉一性原理)

といった、物理法則に関する知識である。

「手に握った100円玉が次に開くと消えたり、何も入っていないシルクハットから鳩が出てきたりすることはあり得ない」という認識が、我々に共通する当然の前提となっているからこそ、その前提から逸脱してみえるそれらの現象が、ハンドパワーと称されるのである。

それでは、そういった物理的知識は何歳ごろから身につくものなのか。
それには諸説あって、例えば有名な心理学者ジャン・ピアジェによれば、生後8〜10ヶ月ごろには対象の永続性の観念が備わっているとされるし、最近読んだ「赤ちゃんの不思議 (岩波新書)」という本で紹介されていた論文によれば、なんと生後5ヶ月ごろからすでに対象の永続性の知識を有していると主張されたりしている。

翻ってこれまで娘と生活してきた実感としては、生後5ヶ月〜10ヶ月なんて段階では、勢い込んでマジックをみせてもキラキラとした目で「で?」と声なき声を返され膝から崩れ落ちるイメージしか湧いてこず、一度マジックを見せる計画は封印することにしたのだが、週明けには空を飛んでるんじゃないかと思わせるほどの勢いで成長する最近の娘を見ていて、やっとマジックを披露する決断を下したという次第である。

こんなマジック見せました

披露した手品は、コインマジック。
右手に持った100円玉が左手の手の甲から手の中に入ってしまい、その後手の甲を叩くと手のひらから下に落下するというもの。このレパートリーは、むかしテレビで木梨憲武扮するMr.ノリックが披露していたもので、当時録画したテープを何度もスロー再生して自力でタネを完全解析したという、個人的な思い入れが深い十八番である。




娘の反応

娘の目の前でマジックを無事に成功させ、さて彼女はどんな反応を示すのかなと注視する私。

すると娘は一瞬の間の後ニヤッと笑い、「まさか初見でタネがバレたのか!」と焦ったが、その次の瞬間、彼女は父親の手のひらから落ちた100円をさっと拾い上げると、自分の手の甲に100円玉をグリグリと力技で押し込み始めた!

骨の音が聞こえてきそうなほどの力強さに、慌てて「あ!これはパパにしかできないんだよー」と言ってやめさせながら、その「この銀色の丸いヤツは手の甲から中に入るに決まってる」という娘の確信の強さに驚いた。

彼女たちの「世界」

彼女の「世界」は、まだ確定していない。
わずか2年あまりの経験の積み重ねをよすがとした彼女の内面に映写されている世界の法則は、目の前の不器用な父親のイカサマ程度で簡単に覆ってしまうほど脆いのだ。

我々が仕方なく受け入れているこの世界の様々な法則に何となく感づきつつも、「次は林檎が天井に落ちるかも知れないし、ポケットを叩けばビスケットが2つになるかも知れない」という、なんでもありうるファンタジックな世界が、まだまだ彼女たちにとっての瑞々しいリアルなのだ。

いずれ娘もさらに経験を重ねて「成長」という名の適応を遂げ、マジックを目にしても「世界」ではなく「父親」を疑い始めるようになるのだろう。なるほど合理的だ。

しかしながら娘には、不確かだけど夢のある期間限定の「その世界」を、今は存分に堪能して欲しいものだと、かつては「その世界」の住人だったはずの父は、願わずにはいられない。多少の羨望とともに。

赤ちゃんの不思議 (岩波新書)

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有森裕子は制汗スプレーの夢を見るか?

先週iPhone5の2年分割支払いが終わるこのタイミングで、iPhone6に機種変更した。

iPhone6か6plusにするかで悩んだが、iPhone10が発売されるより早く決められた決断力のある自分を自分で褒めたい。

 

24時間勤務明けの中、そんな新しいiPhone6が設定中にリカバリモードに陥り、そこから何にもできなくなるというトラブルに遭うも、めげずに「早く眠って体力リカバリしたいよ(`;ω;´)」と泣く程度で立ち直り、なんとか自力で対処できた自分を自分で褒めたい。

 

問題の大きくなった端末に扱いについては、iPhone6ならば十分アジャストできるレベル…って、たった今人生で初めて「アジャスト」なんて意識高そうな言葉を、身の丈に合わないむずがゆさに負けずに使用してインターネッツに発信できた自分を自分で褒めたい。

 

そしてそんなiPhone6の契約中@ビックカメラの雑談の際、いつも通り「あいふぉんろく」と発音する私に対し、担当店員さんは終始「あいふぉんしっくす」と発音し続けてきたのだが、そのあまりに自信満々で揺らぎがない姿に、途中からなんだか恥ずかしくなってきた気弱な私だが、それでも意地で最後まで「ろく」を貫き通したところも、自分で自分を褒めたい。

 

しかし「しっくす」派は、例えばiOS8.0.2をなんて発音しているのだろうか。「えいと ぜろ つー」? 「ろく」派の私は「はってんれーてんに」だけども。

何はともあれ、将来iOS8.4がリリースされ「あいおーえす えいとふぉー」という、なんだか脇汗を連想させる呼称が街を飛び交う愉快な光景が楽しみで、夢に見そうな私である(多部未華子好きだし)。

 

 

【HanyeTech】 iPhone5 USB ライトニング ケーブル 【高品質】

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このメーカーのLightningケーブル、もともと耐久性が低くていかにも使い捨てって感じだったけど、最近モデルチェンジしたみたいで、Lightningプラグの根元周りの作りが良くなった。iPhone5とありますけど、iPhone6/iOS8.1でも使えてます。
もちろん純正使うのが一番だけど高いから、純正は同期のときだけ使って普段の充電時にはこれ使ってます。アイリス(猫)に噛み切られるリスク回避のためもある。
 

 

8x4メン デオドラントスプレー 無香料 135g 【HTRC2.1】

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8×4トリビア】ドイツでの開発当時、商品の有効成分の正式科学名称のアルファベットが32(=8×4)文字だったことを商品名に盛り込もうとした事に由来するが、日本では名前の元になった成分は認可されていないので、今は入っていない。
 
アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

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言わずと知れた「ブレードランナー」の原作。まずタイトルがいいよなぁ。