Edge of Shame
小学二年生は、親に抱っこされることを嫌がるものだろうか。
統計的多数の小学二年生がどうなのかは分からないが、ひとまず娘は嫌がらない。むしろ今でも抱っこされると喜ぶくらいだ。
そんな娘と休校時家庭時間割における「体育」で、散歩に出かけた時のこと。
寒くなるとは聞いていたが、予想していたよりさらに気温が低くて肌寒く、散歩で体が温まるまではと娘を抱っこして暖を取りながら歩くことにした。久しぶりの抱っこで娘は喜んでいるようだ。
昨年引っ越して来て以来まだ歩いたことのなかった細く長い路地を歩いていたところ、その道の先に保育園が視界に入ってきた。緊急事態宣言下でも開園しているようで、園庭には保育士さんと数名の園児の姿が見えた。
すると娘が、抱っこから降りたいと言ってきた。
今まで抱っこしながら外を歩いているときに、娘から降ろしてと言われたことがなかったので少し驚いたが、親に抱っこされている姿を年下の園児たちに見られるのが恥ずかしいと感じるお姉さん心であろうと想像がついたので、特に何も言わずに娘を降ろす。
そして娘はそのまま歩き、保育園の園児達の横を通過する。
私は娘の少し後を歩きながら、これをきっかけに抱っこを嫌がるようになるのかもしれないなと、少々感慨深い気持ちになっていた。
親離れブースターが点火されたかのように、そのままぐんぐん歩く速度を早める娘。
そして保育園が見えなくなったあたりまで進むと、突然娘が振り返り、バッと両手を広げて恥ずかしそうに「抱っこ!!」と主張する。
おいおい、見られてなければいいのかよ。
思わずツッコミそうになったけど、少しホッとしてしまった自分がいた。