逆転スペクトル

元ニートでナヨナヨな一児の父が綴る、由なし事。

ホログラム・ママ

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朝、保育園に娘を預けてお別れするときは、抱っこして十数える→両手でハイタッチ→両手でグータッチ、をセットでやっている。

「お別れのタッチ」だけでは納得しないでグズる娘をなだめるために「お別れの抱っこ」をプラスするようになり、そしたらいつまでも抱っこしようとするので時間制限をつけたりしながら、今の形になってきた。もちろん、抱っこもタッチもしてないのに、保育士さんに抱っこされてニコニコしながら「バイバーイ!」なんて時もあれば、お別れの儀式をひととおりやっても泣いて引き止められる時もあったりと、ばらつきはあるけども。
 
今日はパパとママと娘の一家揃っての登園だった。保育園に着いてひととおり準備を終え、いざお別れという時になって、娘から「おしっこ出た〜。オムツ替える〜」という緊急動議が提出されると同時に、娘は替えオムツ置き場にダッシュ。マジか。
しかしママは会社遅刻ギリギリのクリティカルタイムにさしかかっていたため、ママに比べて余裕のあった私が娘のオムツ替え補助を引き受け、その間にママは仕方なく保育園を出て行った。
 
そしてオムツを替え終わり、保育士さんへの受け渡しエリアで一連の「お別れの儀式」を終えると、娘が「つぎはママと抱っこ〜。あれ、ママは?」とママを探し始める。
私は内心「あら気付いちゃったか…ママと抱っこしたいと泣き出すかもな…」と困りながらも、娘に「ママは時間なくてもう会社に行っちゃっていないんだよ〜」と伝えた。
 
すると娘が驚きの行動に出た。
 
「ママが先に会社に行ってしまった」と聞いた娘は一寸考えると、何もない前方の空間を抱きかかえる素振りをみせ「いーち、にー、さーん…」と数え始めたのだ。
 
エア抱っこである。
 
娘は目の前の「仮想ママ」に抱っこして十数え終えると、私ともう一度抱っこをして、笑いながら驚いている私と保育士さんを尻目に、部屋で待ってるお友達のところに遊びに行った。
 
知らぬ間に別れて寂しいし抱っこもしたかったけれど、「ママが遅れずに会社にいく」ということも、よく分からないけど多分とても大事なこと。その相反する二つの事象のあいだの折り合いを、彼女なりにつけようとした結果の「エア抱っこ」なのだろうか。
 
先日の日記にも書いたが、まだまだ彼女の世界は何でもありの神様がいる世界。健気なエア抱っこをする彼女の目には、実物と見紛うばかりの質感を伴った、大好きなママのホログラムが見えているのかもしれない。

 


 

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